1. "自分たちらしく"暮らす。第3話「自分たちの夢も形にして」

つながるよろこび "自分たちらしく"暮らす。
第3話「自分たちの夢も形にして」

お米作りや小学校のPTAの役員を通して地域との交流が盛んになった頃。町全体の有機農業運動・地産地消・環境問題についての勉強会が盛んになります。

食と農の問題はもっぱら、ご夫婦にお呼びがかかるようになりました。環境イベントがあれば、役員に。生ごみを回収して堆肥をつくる際は、参加して意見を。伸二さんは副代表を経て、今ではNPO法人の代表に。

伸二さん:「今夫婦でどのくらい役を引き受けているんだろう…。何はともあれ、この有機の町で、お年寄と女性が元気で、子供たちの笑顔があれば、地域は活性化していくと思ってるんです。」

時代はネット販売だ!

地域に馴染むと田んぼの面積が増え、お米の収穫量も増え、販売経路を拡大することに。"時代はネット販売だ!"と慣れないインターネット回線を引き、パソコンデジカメ入門本を買い込み、自作のHPで米のネット販売を開始されました。しかし、当時はネットも普及していなかった頃で、予想外の大苦戦。

伸二さん:「ネット販売をする全国の農家集団のネットワークに飛び込んだんです。日々勉強しましたが、経費がかさんで農園は危機的状況に…。しかし嬉しい事に、この土地以外にも多くの友人が増え、農業以外でも交流が増えていったんです。」

そんな中、福井豪雨が池田町を襲った

福井市内も大きな被害があり、池田町は3日間、陸の孤島に。田んぼは泥に押しつぶされ、川沿いの田んぼは土手が崩れ、穂を出した稲は無残な状態。

なんとそんな時、伸二さんの売れないHPが、役立ったのです。

床上浸水した家や、土石流でつぶされた家の写真をネットを通して伝えると全国の農家仲間が、支援物資を山のように送ってくださったそう。それは皆さんの心のこもった、取れたての手作りの農産物たち。

伸二さん:「それはもう嬉しくて!被災した方々の家にお届けしました。」

今でも「長尾さんはあの時、神様のように見えた!」と地域のおじいさん達は、言ってくれるそうです。

福井新聞で賞を!

個人のHPが災害時に役立ったことで、福井新聞から賞をいただいた伸二さん。それからというもの、災害があるとNHKから"池田には、被害は出ていませんか?"と、役場ではなく、長尾さんの元に電話がくるそう。

地域の方々、ネットを通した農家の方々、メディアの方々と、繋がっていかれた伸二さんは"池田の農家の長尾さん"ではなく"池田のお喋りで面白い長尾さん"で有名に。

伸二さん:「池田の長尾になりなさい!と助言をくださった今は亡き農家の大先輩に、少し恩返しできたかな、なんて思っています。」

伸二さん:「人が手をかけ長年培った自然があり、暮らしがあり、田畑があり百姓がいる。そこで地域性が作り上げられる。豊かな暮らしは、確実にある。

しかし、人は何をもって豊かと言うのでしょう?自分で作った米や野菜を食べ、多くの友や仲間に囲まれ、苦労を共にする農家が全国にいます。経済が物差しの暮らしから見れば、貧乏で汗と泥にまみれ暮らす社会に見えるでしょう。

しかし田舎に住む多くの人は、80歳でも現役で、楽しく暮らしています。70歳以上の飲み友達もたくさん。長尾ちゃん、長尾ちゃんと呼んでもらえる。実に幸せな時間を過ごしているように感じます。田舎ぐらし、最高!

今は都会の若者をだまして、ここに移住させる!詐欺師みたいな活動もやっています(笑)。みんな、長尾さんに騙されました!と、笑顔で、次の移住希望者に自己紹介してくれています。」

伸二さん:「田舎の年寄りはその年少者に寄り添い、生きる知恵を授けて、ここでも豊かに暮らしていけると教えてくれます。長尾農園の田舎暮らしは今第2ステージ。来年からは第3ステージへ突入する予定で、憧れの農村CAFEのオープンが決まりました。遊びながら暮らす!死ぬまで元気に働く場所づくりが始まるんです。

ご長男のアトピーと向き合い、移住を考え、地域との活動の中で、漠然と胸に描いた憧れの農村CAFE。モノクロ写真を胸に秘めながら、考えに考え抜いた末、だんだんと、カラーに変わっていかれたご様子。まだまだ、わくわくドキドキの、冒険のような生活は続きそうです。

夢は「思いつづける」。目の前の事は、夢に向かうまでの道のり。そんな風に、今日を大切にしたいと思いました。

長尾農園 伸二さん 真樹さん
長男のアトピーが人生を大きく左右してくれました。田舎で食べ物を自給する暮らしに憧れ、就農先を決めた翌年、平成7年1月阪神淡路大震災。私達家族の都会の最後の思い出です。その年の3月、福井県の池田町で泥沼のような田舎暮らしがはじまりました。珍道中を夫婦二人三脚で一歩一歩、歩んでいます。

長尾さんのお米や季節のお野菜は、長尾農園HPよりご注文いただけます。
長尾農園HP

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取締役会長/経理/ライター 黄瀬理世子 PROFILE
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